競馬の騎手と言えば、多くの手当をもらっていて高給取りのイメージがあるかもしれませんが、地方競馬の騎手はどのくらいもらっているのかご存知でしょうか?
実は地方競馬の騎手は騎乗手当などをもらっていたとしても、年収が200万円以下で厳しい生活を送っている方も少なくありません。
そこで、当記事では地方競馬と中央競馬の手当や収入にどのくらいの違いがあるのか、解説していきます。
競馬の騎手の収入は2種類ある
基本的な話になりますが、競馬の騎手の収入は「騎乗手当」と「レースでの賞金」が主となっています。
「騎乗手当」は、レースの勝ち負けに関係なく騎乗することによって一定額の収入が入ります。
「レースでの賞金」は賞金が全額手に入るのではなく、一般的に5%~7%程度が騎手の懐に入るそうです。
また、騎手は厩舎の一員として、厩舎員と同じすることによっても給料を得ている人もいます。
出走回数が多くても手当が少ない
地方競馬は中央競馬と違い、平日にもレースが行われるため出走回数が多くなっています。
そのことからも、出走回数が多いのだから手当も多く貰っているのではないか?と思う方もいるでしょう。
確かに、地方競馬は平日にも開催されているので回数だけ見れば圧倒的に地方競馬の騎手の方がレースに出ていますが、手当の額自体が非常に低く中央競馬の騎手と比べると雲泥の差があるそうです。
実際に中央競馬に所属する騎手の平均年収は1000万円程度あると言われているのに対し、地方競馬の騎手の多くは年収200万円以下という現実があります。
中央騎手が成績を残せずに稼げない場合でも年収500万程度と言われており、一般的な騎手でさえ年間に5000万円程度稼ぐとも言われています。
しかし、地方競馬で優秀な騎手でさえも年収500万円程度で留まっていることがあり、地方競馬の騎手の収入は厳しいのが現実のようです。
大井競馬場などの比較的賞金が高いレースを行っているところでは騎手の年収も高くなる傾向があります。
それでも、地方競馬と中央競馬の騎手の収入を比較するとかなりの格差があることがわかりますね。
地方競馬と中央競馬の手当を比較
地方競馬と中央競馬ではかなりの格差がある収入ですが、具体的にどの程度の手当を貰っているのでしょうか?
こちらでは、地方競馬と中央競馬の具体的な手当を解説していきます。
地方競馬の騎手の手当
地方競馬の騎手も「騎乗手当」が貰えレースによって異なりますが、1レースあたりの相場は数千円程度が相場となっています。
調教に携わっていれば「調教手当」も入りますが、その額も僅かな額のようです。
この手当の額を聞くと、地方競馬のトップジョッキーでも年収500万円~600万円と言われているのも納得です。
もちろん、地方競馬でも重賞レースが行われているので、重賞レースで勝利し続ければ高額な年収を手にする事はできるかもしれませんが、重賞で勝ち続けるのは用意なことではありません。
後述しますが、1回の「騎乗手当」も中央競馬の10分の1程度という厳しい現実があるのです。
中央競馬の騎手の手当
中央競馬の騎手はレースに騎乗すると支払われる「騎乗手当」と「騎手奨励手当」が中心の収入となっています。
中央競馬では「GⅠ」や「GⅡ」など、レースのランクによって異なりますが1レースあたり4万円~8万円の手当を貰えます。
人気のある騎手は1日に何度もレースに騎乗するので、手当だけでも1日に10万円以上になることも少なくないでしょう。
地方競馬の手当が「1回5000円」だとしても、10万円を稼ぐのには20回も騎乗しなければならないので、1日のレース数を考えても無理な話です。
この手当の高さもあって、中央競馬の騎手は平均年収が1000万円以上もあり、人気選手になると年収2000万円を超えるのも難しくありません。
また、中央競馬の人気騎手であればイベントやテレビ番組、CMへの出演があるため、中には1億円を超える騎手もいます。
この事からも中央競馬の騎手は地方競馬の騎手と違い手当だけでも生活に困るほど収入が低くなりづらい事がわかりますね。
地方競馬と中央競馬の賞金と騎手の取り分を比較
地方競馬と中央競馬の手当は非常に格差がありますが、賞金と騎手の取り分はどの様な差があるのでしょうか?
地方競馬は中央競馬ほど大きなレースが少ないため、賞金が少なくなってしまうのは想像できるかもしれませんが、こちらでは地方競馬と中央競馬の賞金と騎手の取り分を比較していきます。
地方競馬の賞金と騎手の取り分
地方競馬の賞金は中央競馬と比べてもかなり金額が低くなっています。
例えば、重賞レースの川崎記念を例として挙げると、
1着賞金:6000万円
2着賞金:2100万円
3着賞金:1200万円
4着賞金:600万円
5着賞金:300万円
となっており、賞金総額は1億200万円です。
これを見ると賞金が高そうに思えますが、賞金総額が1億円を超える重賞レースがごく僅かです。
そして、この賞金からの騎手の取り分は5%となっています。
地方競馬の中でも高知競馬場は賞金が低いことでも有名で、1着賞金が11万円というのも珍しくありません。
仮に1着になって11万円の賞金が入ったとしても騎手の取り分は5%のわずか5500円です。
このレースでは5着の賞金は6000円となっており、5着になった騎手は300円の収入にしかなりません。
地方競馬の騎手は手当も少ないのにも関わらず、競馬場によってはあまりにも低い賞金額のため非常に収入が少なくなってしまっているのが現実のようです。
中央競馬の賞金と騎手の取り分
中央競馬もレースごとに賞金が異なります。
外国の競走馬も出走する「ジャパンカップ」では、
1着賞金:2億5000万円
2着賞金:1億円
3着賞金:6300万円
4着賞金:3800万円
5着賞金:2500万円
と、賞金総額が4億円を超えるレースもありました。
また、春と秋に開催される天皇賞の賞金総額は、2億5120万円、菊花賞が2億1320万円、有馬記念が3億8000万円など、中央競馬会の主催するGⅠレースになると、賞金総額が2億円を簡単に超えてきます。
この様に中央競馬の賞金金額は1着賞金だけでも地方競馬の賞金総額を上回るような金額があるのです。
獲得した賞金は馬主と調教師、騎手、厩務員で分けます。
取り分は、馬主が約80%、調教師が約10%、騎手と厩務員が約5%ずつとなっています。
つまり、ジャパンカップで1着を取ると、1着賞金2億5000万円のうち、騎手は5%の1250万円を受け取ることができます。
まとめ
この記事では地方競馬の騎手と中央競馬の騎手の手当や賞金の取り分の比較をしていきました。
「競馬の騎手は高給取り」というイメージがあったかもしれませんが、当記事の内容を読んで頂くと、地方競馬と中央競馬の騎手にはかなりの格差があることが分かって頂けたのではないでしょうか?
地方競馬で馬券を購入して「万馬券を的中させた!」と喜んでいる中で、騎手は実際に数千円というお金しかもらっていない可能性もあるのです。
賞金に関しては仕方ない部分もありますが、地方競馬と中央競馬は同じ「競馬」なのに、ここまでの手当の違いがあるのでしょうか。
最近、地方競馬ではファンを増やすためにイベントなどを開催してお金を掛けている印象がありますが、今後の地王競馬の未来を考えると、まずは騎手達がジョッキーとして続けていけるように手当のアップをするのが先決のようにも思えてしまいますね。